FIFA主催のワールドカップでは、サッカー観戦に熱くなりましたね。
日本代表チームの予期せぬ活躍があり、サーカー人気はますます高まりそうです。
さて、昨年のJリーグでは、経営危機から、クラブの存亡が危ぶまれるなか、創設以来初のJ1昇格を果たしたチームがあります。
V・ファーレン長崎は奇跡を起こしました。
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その立役者は、通販大手の「ジャパネットたかた」の創業者・高田明氏と、
息子で二代目社長の旭人氏なのです。
目次
V・ファーレン長崎の危機
チームの存亡危機が表面化したのは、2017年3月、開幕前のことでした。
経営難による、3億円もの累積赤字が明るみになったのです。
そこに登場したのが、髙田明氏と息子の旭人氏の親子でした。
経営に直接関与してはいないものの、それまでもジャパネットHDは、
地元企業としてスポンサーとなり、クラブを支えていたのです。
「ジャパネットは長崎に育ててもらった会社。なんとか手助けしたい」
危機が叫ばれていたころ、旭人氏はこうした思いを抱いていました。
一時は、他の企業が支援に名乗りをあげますが、その一方でジャパネットは、クラブ側と交渉を進めていきます。
そして同年3月、3年で10億円以上を出資し、経営権を取得する意思を表明したことから、支援が決まります。
「なんとかクラブを変えたい」との思いが通じ、またクラブの株主や、地域からも
「地元企業を優先したい」との声があがったことが決め手となったのです。
V・ファーレン長崎の子会社化
チーム再建にあたり、旭人氏が真っ先に相談を持ちかけたのは、父の明氏でした。
「V・ファーレンという長崎のクラブを経営する上では、人を集める求心力が絶対に必要になる。それは父でないとできない」と考え、クラブの社長就任を要請するのです。
明氏も、
「もしつぶれたら、今まで応援してくれたサポーターや、長崎の子どもたちの夢まで摘んでしまう」
との思いから、社長就任を快諾し、再建のために力を尽くそうと決意します。
ジャパネットHDは、100%株を取得して子会社化し、傘下に収めます。
100%の株式を持つことにこだわったのは、
選手や監督・コーチ、スタッフが、様々な株主の顔色を伺うのではなく、
スタッフは選手のために、選手はファンのためにと「がんばる方向がぶれないこと」
が大事だと考えたからでした。
また、環境を整えるために、素早い経営判断ができるとの考えもありました。
それは、年商2000億円に迫る企業であるジャパネットHDが、未だ上場していないのと同じ理由なのです。
しかも、紙くず同然のとなっていた株券を、すべての株主が出資したときの金額で買い取りを行います。
そして今後も、引き続きサポートをお願いするのです。
V・ファーレン長崎の再建
完全子会社化し、経営陣を刷新したクラブは、いよいよ再建へ向け、本格的に動き始めます。
再建に向けて、二人は役割を分けます。
選手の強化やチームの人材育成は旭人氏が、そして経営全般のことは、社長に就任した明氏が取り仕切ることにします。
明氏は、まずクラブの経営状況の把握に努めます。
すると、その内容は、「想像以上にひどい」ことが分かってきます。
結局、現状の把握に費やした期間は半年です。
そこで分ったのは、3億円の累積赤字に加え、入場者の水増し報告がされていたことでした。
平均の入場者数は、5000人に満たず、しかも、スポンサーへチケットを無料で配布していたため、実質的なチケット単価は、600円程度にとどまっており、健全さを欠く経営が行われていたのです。
「これほどマイナスから始める会社はあるだろうか」
と明氏が感じるほどのものでした。
会社をゼロから創業し、発展させてきた経験から、「自分流にやれば、なんとかできるだろう」と、気力を振り絞ります。
以降、テレビショッピングで培ったマーケティング手法や、様々なアイデアを駆使して観客の動員を図ります。
観客を呼び込むために
明氏は、まずスタジアムの改革に着手します。
集客に結びつけるため、試合時間を含めた「5時間」を、スタジアムで楽しめる時間として設定し、テーマパーク化を図りました。
子どもたちが気軽に楽しめるゲームの場や、スタジオグルメも大幅に増やします。
また、電化製品のアウトレット市を開催するなど、人を呼び込む方策を次々と投入していくのです。
本拠地の「トランスコスモスタジアム長崎」は、最寄りの諫早駅から徒歩30分と、利便性が悪く、駐車場も不足していました。
そこで、行政やJRにかけあって、シャトルバスの運行や、試合当日の列車の増便を実現します。
こうして、試合のある日でさえ、閑散としていた町は、賑わいを取り戻していったのです。
不安を取り除く
一方、監督や選手に対して最優先で行ったのは、不安を払拭することでした。
というのも、選手たちは「果たして給料は払われるのか」「自分たちの将来はどうなるのか」といった思いをかかえながら、試合に臨んでいたからです。
明氏は、「経営は私が立て直しますから、みなさんはプレーに専念してください」とだけ言い、サッカーに集中できるよう仕向けていきます。
選手からも直接、意見を聞き、その要望に応えていきます。
「ゴールが古く、使いにくい」という声があれば、すぐに新しいものを準備し、
また、「練習着が1着しかなく、においがひどい」と聞けば、一人3着の練習着を追加で提供し、
業務用の洗濯機や乾燥機をクラブに設置するなど、環境の整備に努めます。
選手たちもゲストハウスに招いて、バーベキュー会を開き、
いっしょにカラオケで熱唱したりと、できるだけ密にコミュニケーションをとっていきました。
二人がクラブの現場に入り、問題点を一つずつ解決していった結果、
監督、選手が余計なことに悩まされなくなります。
すると、選手は本来持っていた実力を存分に発揮するようになり、
その影響はチームの成績にも顕著に表れてきたのです。
V・ファーレン長崎の変化
明氏がV・ファーレン長崎の社長に就任し、クラブの変革が進むにつれ、
チームの成績には大きな変化が生まれきました。
財政状況が厳しく、大きな補強もしていなかったため、
チームの顔ぶれはほとんど変わっていませんでした。
それにも関わらず、明氏の社長就任時の4月末には、4勝4敗1分けの9位だったチームは、それ以降、勝ち星が先行し始めます。
特にJ1昇格が見えてきた、8月からは、10勝3分けの13試合連続負けなしの強さを見せます。
そして、ついに11月11日のカマタマーレ讃岐戦で、自力昇格がかかった一戦を迎えるのです。
高田社長の奮闘
試合を前に、テレビCMに自ら出演した明氏は、
「長崎県の皆さん、J1の夢がそこまできてますよ。
是非、スタジアムに応援に来て下さい!」
とあの甲高い声で呼びかけます。
すると、この試合、スタジアムは、なんと2万2000人を超すファンで埋め尽くされたのです。
試合は、雨が降り続く中、前半、長崎が先制点を決めます。
後半に追いつかれたものの、2点を追加して3対1で見事に勝利しました。
8カ月前には倒産寸前だったクラブが、自力でJ1昇格を決めたのです。
まさに「長崎の奇跡」が起きた瞬間でした。
J1昇格夢への軌跡 V・ファーレン長崎報道記録集 [ 長崎新聞社 ]
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次なる目標
明氏は試合後のセレモニーで、サポーターを前にして、こう語りかけます。
「皆さん、ついに夢が実現しました。おめでとうございます。先人の努力、ここにいる皆さんの努力、すべての皆さんの成果であるということを大事にしながら、さあ、もう切りかえましょう。夢はどんどん階段を昇って、前へ前へ進んでいきますよー」
(ちなみに、明氏はなまりが強く、J1の発音が、どうしても「ゼイワン」となってしまいます。今ではサポーターにもすっかり浸透し、地元のテレビ番組やポスターなどでは、あえて「ゼイワン」を使うまでになっています。)
見事、J1昇格を果たしたチームですが、その後も明氏は精力的に動き続けています。
V・ファーレンロード
「V・ファーレンロード」と名付けられた、駅からスタジアムへの道は、徒歩で30分です。
この道を楽しんで歩けるよう工夫をこらします。
駅前では地元の高校のブラスバンド部が演奏をして、サポーターたちを出迎えます。
駅からスタジアムまでの道にある店にも声をかけ、協力を呼びかけました。
すると、試合当日には、地元の名産品であるお茶や牡蠣、日本酒など、歩いてスタジアムへ向かうサポーターへ、自主的に無料で振る舞うようになっていました。
相手サポーターも、「こんなにもてなしてくれるところは他にない」と、笑顔でスタジアムへ向かいます。
視察してよい所を取り入れる
明氏は、ホームススタジアムはもちろんのこと、アウェイの試合にも、すべて出向くと言います。
目的は、スタジアムの視察とサポーターとの交流です。
必ず行うのが、自分のチームに取り入れることはないかと、みずからスタジアム中を練り歩くことです。
大画面モニターの設置や、ピッチ看板のLED化は、明氏が他のクラブのスタジアムを視察して、取り入れた成果です。
また、観戦に来ている相手チームのサポーターに、試合前1時間のインタビューを敢行します。
100人、200人に声をかけ、サポーターが何を求め、何に喜び、何を期待しているのか、自ら聞いていくのです。
テレビ通販で有名なことから、「高田社長~」と声を掛けられることもしばしばあります。
明氏はそんなサポーターにも気軽に話しかけ、インスタグラム用の写真撮影にも快く応じていきます。
ときには、相手チームサポーターの食事会や集まりに招待され、講演を行うこともあります。
ホームゲームの前には、テレビCMにも一層力を入れます。
年間観戦チケットの販売では、「浦和レッズ、浦和レッズがやってくるんですよ、皆さん! 大人の方は3割引、子供の方は4割引。金利手数料は負担します!」と、みずから売り込みを行います。
矢継ぎ早に改革を重ねた結果、3億円の赤字からスタートしたチームの経営も、25億円の売上を見込むまでに改善してみせるのです。
手厚いサポート
選手に対しても、取引企業のマットレスメーカー「エアーウィーブ」と睡眠サポーター契約を結びマットレスを支給したり、
「タニタ」と提供して食事面のサポートを行ったりと、コンディション作りも手厚くサポートします。
4月には、ドイツの名門クラブ・レバークーゼンと育成業務提携を発表します。
若手選手の育成に力を入れるだけでなく、長崎県内のサッカー指導者に参加を呼びかけ、すでに講習会も実施しています。
高田氏は選手だけでなく指導者の育成も考えているのです。
新スタジアムの建設計画
さらにこの春、V・ファーレン長崎にとって大きなニュースが、発表されました。
それは、長崎市内への新スタジアムの建設計画です。
再開発事業の公募で、ジャパネットHDが優先交渉権を獲得し、
500億円以上の総工費を、すべて自社で負担することを発表しました。
完成すれば、長崎駅から500メートルと、Jリーグのスタジアムでも有数の好立地を誇ります。
このプロジェクトには、ファンも大きな期待を寄せています。
高田氏の名言
みずから先頭に立って、精力的に働き掛け、クラブの改革を断行するジャパネットの高田氏。
社長就任以来の再建の途上で、高田氏はこんな言葉を発しています。
「ひとつ言えるのは、気力が奇跡を起こすことがあるということ」
「勝つと信じれば、勝てない試合を勝つことがある。気持ちが変われば、不可能なものが可能になります。通販でも、『売れない』と思った瞬間、売れなくなる。『売るぞ!』と覚悟を決めると、本当にそれが実現する」
「将来はJ1で優勝を争えるようなクラブにしたい」
後半戦も始まり、J1初参戦のV・ファーレン長崎がどこまで、踏ん張りをみせるのか。
加えて、明氏と旭人氏高田親子がどのようにクラブを発展させていくのか…。
その経営手腕にも、目が離せない状況が続きそうです。
今年は東京VもJ1へ
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サッカー界の名門、東京V(ベルディー)はJ2に降格してから低迷を続けています。
古くから日本のサッカー界を牽引してきたクラブだけに復活して欲しいものです。
しかし今年はチャンスなのです。
後半戦に16年シリーズの得点王ブラジル人FWレアンドロが加入します。
そして、どうなるかわかりませんが水面下で本田との交渉が進んでいるといいます。
今のところ本田はオーストラリアに行く公算が強いようですが何があるかわかりません。
どちらにしても、東京Vの戦力は確実にアップしています。
今年は是非J2で2位までに入り、来年はJ1でのプレイを見たいものです。