大国主命 七つの名を持つ神様
太古のロマンを秘める出雲に鎮座ましますのは、大国主命です。
大国主命は、
大物主命(おおものぬしのみこと)
大己貴命(おおなむちのみこと)
八千矛神(やちほこのかみ)
葦原色許男命(あしはらしこおのみこと)
宇都志国玉命(うつしくにたまのみこと)
大国魂命(おおくにたまのみこと)
と、七つの名前をお持ちです。
日本神話に出てくる神様は、そのお名前自体がお働きを示していると言われています。
ですので、大国主命が多くのお名前を持つということは、多くの働きをするのです。
本当に頼もしい神様ですね。
ちなみに、全国の神社の中で「大社」と言われて通じるのはは出雲大社だけです。
出雲大社の創建は、国譲りの神話に基づきます。
神話「因幡の白うさぎ」
『サメを騙したため全身の皮をむかれた白うさぎが大国主命の兄たちに助けを求めたところ、海水につかり風にあたるとよいと言われます。
うさぎが言われた通りにしたところ、塩水がしみてよけいにひどい状態になりました。
兄たちに荷物を持たされ遅れてやってきた大国主命が、痛みで泣いているうさぎを可哀想に思い、「真水で塩を洗い、がまの穂にくるまると良い」と教えました。
それで、うさぎの傷はすっかり治りました』
というお話で、大国主命の優しい性格がうかがえます。
助けられたウサギは、
「八上比売は、あなたを夫に選ぶでしょう」と予言します。
そして、予言どおりに八上比売は、意地悪な八十神たちではなく、大国主命を夫に選びます。
八十神の迫害
大国主命を妬んだ八十神たちは、出雲に帰る途中、嫌がらせをします。
八十神たちは、大国主命に
「赤い猪を追い落とすから、下で待ち構えて捕まえろ」
といい、真っ赤に焼けた石を落します。
それを受け止めた大国主命は、たまったものではありません。
大やけどを負って死んでしまいました。
大国主命の母神が高天原に助けを求めると、
カムムスヒノカミがキサガイヒメとウムガイヒメを派遣します。
二人が薬を塗ると、大国主命は、蘇生して、前よりも麗しく、男らしく生まれ変わります。
この後も大国主命に対する八十神達の迫害は続きます。
このままでは、また死んでしまうと心配した母親はオホヤマビコノカミに相談します。
その助言で根の国に住む須佐之男命(すさのうのみこと)を訪ねることになりました。
大国主命根の国に行く
大国主命は、根の国の入口で出会った須佐之男命の娘といきなり結ばれます。
須佐之男命の娘は須勢理比売(すせりひめ)と言います。
須勢理比売が須佐之男命に大国主命を紹介すると
須佐之男命は、大国主命に蛇、ムカデ、蜂の室に押し込めたり、
火責めにあわせたりして試練を課します。
しかし、須勢理比売の機転で大国主命はその試練を見事に克服します。
最後に須佐之男命は、八十神を追い払う方法を授け、須勢理比売を正妻にし、オオクニヌシノカミと名乗り、国造りを進めるように命じます。
その後、八上比売が出雲までやって来ますが、正妻の須勢理比売がいました。
それで遠慮し、またイナバへ引き返しました。
少し切ないですね。
また、越の国まで奴奈川比売に求婚しに行ったりします。
色々と大国主命と姫神たちのやり取りがあるのです。
英雄色を好むでしょうか?
葦原色許男命(あしはらしこおのみこと)と言われる所以かも知れません。
要するに、色男の神様なのでしょうね。
国造り
大国主命と姫神たちのやり取りがあった後に大国主命は、海の彼方からやって来たカムムスヒの子、須久那美迦微(スクナビコナ)の協力のもと、国を作り固めます。
しかし、完了間近に、須久那美迦微は海の彼方に去ってしまいます。
大国主命が途方に暮れていると海上を照らしてやってくる別の神様(=幸魂・奇魂 )が現われ
「自分を三輪山に祀ったならば、国造りは完成する」といいます。
大国主命はその通りにし、国造りは完成をみます。
国譲り
出雲を中心とした葦原中国(あしはらのなかつくに)を天照大御神は、自分の子どもが統治すべきだと主張し、大国主命に国譲りを迫ります。
最初に交渉にやってきたのは、天菩比命(あめのほひのみこと)でした。
しかし、天菩比命は大国主命の国土経営に魅せられて出雲に住みついてしまいます。
次に交渉にやってきたのは天若日子(あめのわかひこ)でした。
彼も、大国主命の娘下照比賣(したてるひめ)と結婚し、高天原には戻りませんでした。
さらに、偵察に来たキジを誤って殺してしまいました。
その時に射った矢は、高天原まで届きました。
天若日子は、反逆者とみなされ、殺されてしまいます。
最後の交渉にやってきたのが、建御雷神(たけみかずちのかみ)でした。
建御雷神は、イザサの小浜に降り立ちます。
大国主命は建御雷神の要求に対し息子の事代主命に委ねると回答します。
この時、事代主の命は、美保の崎で釣りをしていました。
建御雷神は、お供のアメノトリフネに迎えに行かせ連れて来られた事代主命は国譲りを了承します。
建御雷神(たけみかずちのかみ)が他に聞く者はいないかと尋ねるともう一人、建御名方神(たけみなかたのかみ)がいると大国主命が答えます。
そこへ建御名方神がやって来て、力比べで決着しようと持ちかけます。
(※これが相撲の起源の一つです)
しかし、建御名方神は敗れ、信濃の国の諏訪まで逃げ込みます。
建御雷神は、追いつめて国譲りを了承させます。
こうして反対するものは、いなくなり大国主命は、
タギシの小浜に千木が空に届くような大きな神殿をたててくれるならば
そこに隠れて幽界を司るといい、国譲りは完了します。
日本書紀では、高天原の高御産巣日神命が、大きな神殿を作るので、
そこで幽界の神事を司るように大国主命に依頼しています。
それと同時に、高御産巣日神は、その祭事を掌握するのは天菩比命であると宣言しています。
そして、現在に至るまでその天菩比命の末裔である出雲国造さんが出雲大社を守っているわけです。
写真は日御碕灯台
ご神徳は?
大国主命の故事によると、最も大きな働きは国土の開拓や国土経営であります。
そして、たくさんのお妃を娶ったことから、男女における縁結びの神となっているようです。
また、大黒様と同一視される事により、商売繁盛の神ともいわれています。
ちなみに三輪に鎮もった神様は、大物主命(おおものぬしのみこと)です。
大国主命の違った局面を表した神と考えられますよね。
三輪神様は強烈に魔を払う神と云われています。
邪気払いの神様でしょうね、なんでも霊能者がよくお参りする神社だそうです。
そういう人が行くという事は、本当に凄いんでしょうね。
当然、出雲の大国主命さんにも同じことが言えるはずですよね。
同体異名の神様なのですから、元は同じはずです。
まとめ
日本において伊勢神宮に次ぐ社格の出雲大社は、オールマイティーなご神徳を備えている神社であることに間違いはありません。
その中でも、特にお名前に現れいる事にお働きを表すのではないでしょうか?
何でも気軽にお願いすれば、きっと良い証を与えてくれると思います。