Dr.スランプ アラレちゃんに登場するDr.マシリトの正体は、「伝説の編集者」鳥嶋和彦氏だった。その足跡をリサーチ!

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漫画家・鳥山明さんの作品は、少年ジャンプに掲載されていました。

その名声は、今や国内にとどまらず海外にも知られています。

『ドラゴンボール』『Dr.スランプ アラレちゃん』はまさに不滅の名作です。

その中に出てくるDr.マシリトは、伝説の編集者鳥嶋和彦氏がモデルのようです。

鳥嶋和彦氏は、 ジャンプ黄金期の80年代に、鳥山明や桂正和という漫画家の編集者として大ヒット作品を世に送り出しました。

「ジャンプ放送局」や「ファミコン神拳110番」などの人気企画も編集しました。

これが、ドラゴンクエストの誕生にも大きな役割を担ったといいます。

そしてDr.マシリトとして、鳥山氏のマンガに個性的なキャラクターとして登場しています。

Dr.マシリトの経歴

1952年新潟県生まれで、集英社に入社します。

入社2年目で鳥山明を発掘し『週刊少年ジャンプ』で、『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』を立ち上げます。

ほかに桂正和『電影少女』『ウイングマン』なども担当しました。

漫画以外にも、企画ページの『ジャンプ放送局』『ファミコン神拳』などの編集や、連載漫画のメディアミックス化を手掛けます。

1996年~2001年に『少年ジャンプ』編集長を務め、『遊☆戯☆王』などのメディアミックスを精力的に推し進めました。

『ONE PIECE』『NARUTO』の連載も開始します。

2010年に集英社専務に就任。

2015年より白泉社社長に至ります。

鳥山さんとの邂逅

編集者が新しい才能と出会うには3つの方法がありました。

1つは漫画家のアシスタントの中から有力新人を探す方法。

2つ目は新人漫画家の原稿の持ち込み

3つ目が「漫画家からの投稿」による懸賞募集です。

鳥山さんを見つけたのは3つ目の投稿でした。

漫画家鳥山明になる前

当時、鳥山さんは朝早く起きることができない人でした。

それで会社も辞めてしまって、名古屋にいたのです。

彼は絵を描くことしかできなかったので、イラストレーターか漫画家になるしかないと思っていました。

しかし、どうすればイラストレーターになれるのかも分からなかったのです。

新人賞の作品募集

喫茶店で偶然手に取った『週刊少年マガジン』で、新人賞の作品募集の記事を見つけます。

それで漫画を描き始めました。

彼は最初ギャグ漫画を志したのです。

その理由は、ギャグ漫画はストーリー漫画と賞金が一緒なのに、ページ数が半分だったから。

ギャグ漫画は15ページ、ストーリー漫画は31ページだったので、楽だと思ったのです。

ところが、原稿は仕上げたのですが、マガジンの募集とタイミングが合いませんでした。

一方、『ジャンプ』は新人賞を毎月募集していたので、そこに応募しました。

その応募してきた原稿を、鳥島氏が読んだのです。

原稿がきれいだなと思った 当然面白いとも思ったのですが、賞は出せない原稿だったのです。

内容がパロディーだったので、規定で賞の対象にならず、選外でした。

「才能があるから僕と一緒にやろう。すぐに絵コンテを作って送ってほしい」と頼みました。

その絵コンテを、当時の編集長がすぐに気に入ってくれたので、新人用のコーナーに載せたのです。

読み切りの『ワンダー・アイランド』という作品でした。

満を持して発表したのですが、読者アンケートでぶっちぎりのビリになってしまいました。

「賭け」から生まれたのがアラレちゃん

約1年半をかけて鳥山さんとやりとりをして『Dr.スランプ』が生まれるわけです。

鳥山さんは『Dr.スランプ』では、自称天才科学者の則巻千兵衛を主役と考えていていました。

アラレを主人公にした方が良いと思ったので、鳥山さんとある「賭け」をします

女の子を主人公にした漫画(『ギャル刑事トマト』)を描いて、読者アンケートが3位以内だったらアラレちゃんを主人公にするというものです。

もし4位以下だったら鳥山さんの言う通り則巻千兵衛を主役にする。

結果は3位だったので、賭けに勝ってアラレが主人公になりました。

しかし、鳥山さんは則巻千兵衛を表す『Dr.スランプ』というタイトルだけは変えなかった。

人の話を素直に聞ける作家は伸びる

鳥嶋さんは、作家は「原稿が早い作家」と「原稿が遅い作家」に分けられると言っています。

それで、原稿が遅い作家は周りの人も含めて全てを不幸にします。

作家は追い詰められるし、関わる編集者はデートもできないし、家族サービスもできなくなります。

印刷所も待たなきゃいけなくなるのです。

原稿が早いか遅いかを決めるのは「諦められるかどうか」なのです。

週刊誌なら面白くても1週間ですし、つまらなくても1週間です。

だから「どこで決断するか」が重要なんですね。

作家が絵コンテをどれだけ早く描けるか。

面白くしようと粘ると、1週間という期間をはみ出してしまうのです。

読者アンケートは、全部の漫画を読んで点数を付けて公平に評価するわけではないのです。

好きなもの、あるいは印象に残っているものを選んでいます。

だから漫画は、ストーリーがイマイチでも、目に付くコマさえあれば読み続けてくれます。

目を引くカットをきちんと押さえておけばいいのです。

目に付くコマさえあれば読み続けてくれるのです。

Dr.スランプ(6) Dr.マシリトの野望!!の巻 (ジャンプコミックス) [ 鳥山明 ]

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読みやすい漫画と読みにくい漫画

新入社員時代に小学館の資料室でいろいろな漫画を読みました。

作品を分析しながら19ぺージの漫画を50回以上読んだのです。

その結果、漫画には2種類あると分かりました。

読みやすい漫画と読みにくい漫画です。

読みにくい漫画は手が止まるります。

一方、読みやすい漫画だと思ったのが、ちばてつやさんの作品でした。

痛感したのは「漫画はコマ割りでできている」ということです。

コマ割りこそが漫画の文法なのです。

その方法論を鳥山さん含め新人漫画家に教えると、漫画がどんどん上達していきました。

漫画の文法を説明できるようになって初めて、打ち合わせができるようになったそうです。

新人編集者に対して

面白いか面白くないかという感想を言うだけなら小学生の方が確かだ。

なぜつまらないのか、 どうすれば面白くなるのか、 その作家の「現在の漫画力」を知り、分析して鍛えていくのが 編集者の仕事と言います。

しかし、苦言を呈すのはなかなか難しい事です。

作家に対して意見することから逃げると、作品が終わってしまいます。

言いにくいことでもきちんと伝えなければならないのです。

漫画家は連載を続けることができなければ、フリーターになってしまいます。

お金を稼げなくなるのです。

だから編集者は、作家に面白い漫画を描く力を付けさせ、読者に届けられる作品に磨かないといけないのです。

伸びる漫画家と伸びない漫画家の違い

こちらのフィードバックを聞いて、「修正」ができるかできないかです。

素直に話が聞けるかどうかでしょう。

読者に伝わるためには分かりやすさが必要です。

「読みやすい漫画」でなければ手が止まってしまうからです。

漫画の吹き出しは「7字×3行」ほどの話し言葉で、やりとりをしています。

その会話を絵と一緒に展開しているので、読者は読むんじゃなくて「見る」のです。

ドラゴンボールの「転機」は?

あるとき、読者アンケートの順位がどんどん下がるという現象が起きていました。

どうしてなのかを分析した結果、「悟空にキャラクターとしての魅力がない」という結論が出たのです。

悟空は「強くなりたい」というキャラクターです。

だから、師匠である亀仙人と、修行仲間のクリリン以外のキャラクターを、全部捨てます。

この3人だけに絞り、ともに修行に励ませることで作品のテーマを明快にしたのです。

そして、「天下一武道会」という舞台を設定しました。

天下一武道会を目標に修行をして、悟空が強くなっていく過程を見せていきます。

それで、一気に人気が上がったのです。

「社外の人」と付き合う意味

『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さんなど外部ライターを起用して多く成功します。

するといろんな話が出てくるのです。

『Dr.スランプ』が人気だった当時、『週刊プレイボーイ』に鳥山さんのインタビュー記事を載せたいという話がきました。

当時『セブンティーン』のライターだったさくまあきらさんからの話だったのです。

(後に『桃太郎伝説』シリーズの監督を務める)

1つ条件を付け実現した「ジャンプ放送局」

当時の副編集長が読者投稿のページを「担当してくれ」と頼んできました。

読者投稿は新入社員が担当するページだったので、断割ります。

しかし、「人数が足りないから頼む」と言われ、1つ条件を付けました。

さくまさんにページを担当させて欲しいという条件です。

そして、今まで4ページだったものを8ページにし増やしました。

イラストレーターに土居孝幸さんを起用します。

(後に『桃太郎伝説』などで作画を務める)

結果、「ジャンプ放送局」は読者アンケートでいきなり10位くらいになりました。

下手な漫画より人気が出てしまいました。

コンセプトは「漫画が描けなくてもハガキ1枚書けばジャンプに載れる」です。

まとめ

Dr.マシリトこと、鳥嶋和彦(とりしま かずひこ)氏のエピソードはつきません。

何と言っても、伝説の編集者なのですから、勇者ではありません。

漫画の中のDr.マシリト鳥山明さんが見た鳥嶋氏の本質のような気がするのです。

日頃、締め切り締め切りでイジメられていたのでしょうか。

しかしそこには、編集者の愛がにじみ出ている気がします。

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