宇宙のゴミ(スペースデブリ)を掃除する「アストロスケール」

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人類が宇宙開発を開始してから約60年が経過しました。

その間に何千回も人工衛星などの打ち上げが行われてきました。

重量換算では、数千トンもの衛星やロケットが宇宙空間に存在するのです。

地球から観測できる10センチ以上の物体は約2万3千個です。

観測できない小さなごみも含めれば、推計1億個以上とも言われています。

宇宙のゴミ問題

ゴミ問題が地球のみならず、宇宙でも問題になっているのです。

人類が宇宙へ行こうとすれば、高度800km付近を通過する時に、地球の周りを秒速7kmで旋回するゴミとぶつかり、宇宙船が大破してしまう可能性があるのです。

宇宙船のみならず稼働中の人工衛星もゴミとぶつかり破壊される危険性があります。

実際に09年2月には、人工衛星に衝突する事故が発生しました。

人工衛星はスペースデブリとの衝突を避けるため、必要な軌道修正を行っているそうです。

人工衛星がなければ、正確な気象情報や車のナビ、通信など非常に困ったことになります。

我々の日常生活にも支障をきたすスペースデブリは、人類にとって喫緊の課題なのです。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)や米航空宇宙局(NASA)などは、スペースデブリの研究・調査に取り組んでいます。

しかし、回収方法や技術までは確立していません。

この問題に立ち上がった人物が、株式会社アストロスケール創業者の岡田光信氏です。

スペースデブリ

デブリには使用済みの人工衛星、ロケットやそのエンジン、ネジや工具類も含まれます。

ロケット打ち上げ時や人工衛星が稼働しなくなっても処分されず、増えていったのです。

1ミリの破片でも起動中の人工衛星などにぶつかれば、致命的な損害を引き起こします。

これが、私達の生活にも多大な影響を与えることになるのです。

GPS機能(カーナビやグーグルマップなど)、気象情報などは人工衛星が機能するから利用できるのです。

停止してしまえば、日常生活に支障をきたしてしまいます。

1950年代にはスペースデブリはゼロでした。

それから宇宙事業が活発化すると同時にデブリも増加していきました。

最近では中国の宇宙兵器開発のために行った実験で、飛び散った破片がスペースデブリになり、世界中から非難されました。

デブリは大きい物だと大型バス1台分、小さいものでは1ミリ以下の塗料片など様々です。

今までに衝突事故が250回以上発生しています。

アポロ11号と同じ軌道で月へ行こうとすると、最低20個以上のデブリとぶつかる可能性があります。

デブリが増えていることは明らかでしたが、誰も対策を取らなかったのです。

デブリの原因ともなるロケットや人工衛星のほとんどを打ち上げてきたのは、アメリカ・ロシア・中国の3カ国です。

この3カ国が原因で発生したデブリだから排除する費用は3カ国が負担すべきと論じています。

一方、3カ国は、人工衛星の打ち上げによって世界の生活機能が向上しており、その恩恵を享受している3カ国以外の国がデブリ撤去の費用を負担すべきと主張しています。

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アストロスケール創業者 岡田光信

そんな中で日本の一民間企業が掃除役を買って出たのです。

岡田氏は兵庫県の出身で、東京大学農学部を卒業後、大蔵省(現財務省)に務めました。

その後に大手コンサルティング会社マッキンゼー・アンド・カンパニーに転職します。

その後、IT業界に目をつけて自ら起業します。

日本、シンガポール、インドや中国など世界を飛び回りながら十年間その仕事に打ち込みました。

しかし、当時39才だった岡田氏は心の内で模索していました。

社会における自分の本当の役割とは何なのだろうか。

その役割を見つけることに葛藤していたのです。

そんな時、高校生の時にある人からもらったメッセージを見つけます。

毛利衛宇宙飛行士から頂いた「宇宙は君達の活躍するところ」のメッセージです。

そのメッセージを見てから宇宙に関する学会に参加するようになります。

そして、ドイツで開催された学会に参加し、デブリ問題が深刻であることを知ります。

「ゴミ拾いをしよう」そう決めた岡田氏は社会における自分の役割を見つけたと感じました。

学会からわずか十日後、岡田氏はアストロスケール創設を決意します。

宇宙の専門知識は全く無い、しかもやることはゴミ掃除。

お金になるのかどうか保証がない事業です。

すべてがゼロからのスタートでした。

しかし、岡田氏は未開の地に踏み込むワクワク感を止めることができませんでした。

岡田氏は6年でロケット打ち上げを実現できるよう志します。

日本のロケット開発の父

「日本の宇宙開発・ロケット開発の父」と言われるのは故糸川英夫氏です。

彼は、超小型のペンシルロケットを打ち上げて15年後に、日本初の人工衛星を打ち上げます。

その半分の期間でロケットを飛ばそうと意気込むのです。

宇宙に関する論文を三百本読みました。

最初は全く意味不明だった内容も、少しずつ理解できるようになります。

宇宙は法整備が整っておらず、デブリの処理能力や市場も未開発状態でした。

また宇宙事業は莫大なお金がかかります。

スペースシャトル打ち上げで1800億円、人工衛星打ち上げで数億~数百億円かかります。

デブリの処分方法

デブリを処分するコストをどれだけ安く抑えるかが鍵となります。

また、デブリをこれ以上増やさない体制構築も必要になります。

ロケットや人工衛星のサイズを選定し、一番効率が良いデブリの捕獲方法についても検討を重ねます。

網でデブリを囲むのか、ロボットアームで捕まえるのか、銛(モリ)で突き刺すのか、

色々検討しながら最終的には特殊な粘着剤を使うことに決めます。

不屈の闘志

岡田氏が世界各地を駆け巡る中、思わぬ自体が発生します。

2017年11月、アストロスケールの最初のミッションであるデブリ観測衛星を乗せたロシアのロケットが打ち上げ失敗となり、大西洋に落下してしまいます。

莫大な時間と手間暇、資金をかけて作り上げた努力の結晶が一瞬で灰燼と化しました。

それでも岡田氏は怯むことなく、山のようにある為すべきことに集中します。

ワクワクの情熱は尽きませんでした。

市場を確立するため、複数の小型人工衛星を打ち上げてインターネット環境を築こうとしている企業と手を組み、故障した衛星の回収サービスを提供しようとしています。

また、ロケット製造会社と手を組んで、打ち上げ時にデブリとなるロケットの回収サービスに向けても取り組んでいます。

アストロスケールは、2019年4月時点で資金調達額は異例の累計約146億円に達します。

100社以上の企業と手を取り合い、2020年にはデブリ除去衛星を打ち上げる予定です。

岡田氏は困難に遭遇した時も、宇宙開発につながるゴミ拾いに情熱を傾け続けています。

今日も宇宙のゴミ拾いに向けて邁進しているのです。

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