100年の歴史をもつ鋳物メーカー「能作」が伝統産業で顧客と社員の幸せにに貢献する

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高岡駅前のドラえもんのブロンズ像は地元の会社で作ったものです。

世田谷区のサザエさん一家の銅像、鳥取境港市の妖怪のブロンズ像なども高岡製のものです。

人口およそ17万人の富山県高岡市は、鋳物産業の集積地として発展してきました。

この地に、全国から年間12万人を超える来場者が訪れる鋳物関連の施設があります。

それが、100年の歴史を持つ鋳物メーカー「株式会社能作」の本社と工場です。

入場者の7割が女性で、体験工房やショップ、カフェを目当てに、集まっているのです。

駅からタクシーでも、不便な場所ですが、富山でも有数の観光スポットとなっているのです。

今では、日本随一の鋳物メーカーとなった能作ですが、長く苦境にあえいでいました。

現在の発展の礎を築いたのが、現社長の能作克治氏です。

大阪芸大を卒業して、大手新聞社の報道カメラマンとして働いていました。

能作に入社することになったのは、奥様が能作家の一人娘だったからです。

いわゆる、マスオさんですね。

能作の100年の歴史を誇る家業を絶やすわけにはいきません。

また、ものづくりに興味があり、職人の世界に飛び込んだのです。

いざ鋳物職人の世界に入ってみると、その過酷さは想像をはるかに超えていました。

専務の肩書きで入社したものの、手取りはわずか13万円でした。

新聞社に勤務していた当時の3分の1にも届きません。

なにより、その労働は過酷さを極め、1年間で30キロも体重が減ってしまうほどでした。

溶解した金属の匂いと、1200度にも達する真鍮の熱さ、

毎日、深い疲労の中で時間が過ぎていったのです。

不景気により高岡の鋳物産業は衰退の一途をたどっていました。

作り続けなければ、廃業に追い込まれてしまう状況が続いていたのです。 

来る日も来る日も、汗まみれになって働き続けました。

当時としては珍しく、「子どもと工場を見学したい」と申し出る女性からの連絡を受けます。

快く受け入れ、訪問当日も、親切にこの親子を迎え入れたのです。

すると、工場内を案内するうちに、母親が子ども対し、こう語りかけたのです。

「よく見なさい。ちゃんと勉強しないと、あのおじさんみたいになるわよ」

母親の心ない言葉を耳にして、思わず凍りついてしまいます。

地元の伝統産業を守り抜こうと、必死で働いてきただけに、悔しさに震えてしまいます。

そして、この屈辱的な出来事から、「鋳物職人の地位を取り戻す」、と決意するのです。

能作は当時、典型的な下請け企業で、お客さんとの直接の接点もありません。

また、「現状維持では、会社の未来はなく、職人の地位も向上しない」と考えていたのです。

そこで、下請けからの脱却を図り、自社製品の開発に乗り出します。

能作初のオリジナル作品は、素材は真鍮の卓上「ハンドベル」でした。

社長みずから試作したものですが、売れたのはわずか30個という、結果でした。

店員に「音がいいから、風鈴にしてみては」と言われ、風鈴に作り替えてみることにします。

すると、4000円と高めの価格ながら、わずか3ヶ月で3000個も売れてしまいました。

さらに、「食器をつくると売れると思います」とアドバイスを受け、食器の製作を試みます。

目指したのは「錫100%」の食器の開発でした。

理由は、「どのメーカーもやってないから」です。

錫の特性は、匂いが付かず、食器として使えること。

また、酸化しにくく抗菌作用があることなど、食器の素材として、もってこいのものでした。

しかし、柔らかく、簡単に曲がってしまうので、製品化は不可能とされていたのです。

しかし、「どこもやってないからこそやる価値がある」と、世界初の製品化に挑みます。

予想どうり、製作は困難を極め何度作っても、グニャリと曲がってしまうのです。

そんなとき、「曲がるなら、曲げて使えばいいのでは?」と、アドバイスを受けます。

そこで、言葉のままに、自在に曲げたり伸ばしたりできる食器の開発に取り組みます。

実現を可能にしたのが、シリコーンで作った型に、金属を流し込むという独自の技術でした。

まさに逆転の発想によって、できあがったのが、代表作「曲がるKAGO」シリーズです。

商品は、曲がる使いやすさや、デザインが高い評価を受け、売上を伸ばしていきます。

また、ガンダムやドラえもんいったキャラクター商品を展開して行きます。

さらに、医療分野への進出も果たし、新たな需要の開拓にも、チャレンジを続けています。

今や、能作の商品は、三越、松屋銀座などの国内百貨店をはじめ、

ニューヨークや台湾、バンコクで店舗を展開するなど、海外でも人気を博します。

世界初の錫100%の「曲がる食器」シリーズを中心に、世界中を魅了しているのです。

能作が掲げるのは、「地域と社会に貢献するものづくり」です。

事業の進め方は、単なる利益の追求だけでなく、「地域への貢献」を強く意識しています。

「顧客と社員を幸せにし、高岡の伝統産業に貢献する」という、

事業の根本をしっかりと根付かせ、一丸となって推し進める能作の経営です。

そのあり方は、継続して繁栄する模範のような経営かもしれません。

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