マダニが媒介する感染症SFTS「重症熱性血小板減少症候群」ヒトヒトに感染を国内で初めて確認

健康
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マダニによる感染症は増加傾向にあります。先日の報道では、マダニが媒介する感染症SFTS=「重症熱性血小板減少症候群」についてヒトからヒトに感染したケースを国内で初めて確認したと発表しました。SFTSは、主にマダニに刺されることで感染するウイルスの感染症で、発熱や腹痛などの症状を引き起こし、重症化すると死に至ることもあり注意が必要です。

マダニによる感染症

マダニは、自然環境に広く分布している小さな節足動物であり、人間を含む哺乳類に寄生して血を吸う習性があります。マダニに刺されることは単なる不快な体験にとどまらず、深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。マダニが媒介する感染症には、ライム病、重症熱性血小板減少症候群(SFTS)、エールリヒア症などがあり、これらの病気は地域によって異なるマダニ種によって媒介されます。

マダニが引き起こす主な病気

ライム病:主にイクソデス科のマダニによって媒介されるバクテリア感染症です。初期症状には、皮膚の発疹や発熱、頭痛、倦怠感がありますが、適切な治療を受けない場合、関節炎、神経系の障害、心臓問題など深刻な合併症を引き起こすことがあります。

重症熱性血小板減少症候群(SFTS):主にヒアリゾウマダニ属のマダニによって媒介されるウイルス性の疾患です。高熱、消化器症状、血小板数の低下が特徴で、重症化すると致死率が高くなります。

エールリヒア症:エールリヒア属の細菌によって引き起こされる感染症で、主に犬などの動物に感染しますが、人間にも感染する可能性があります。発熱、筋肉痛、頭痛などの症状が見られます。

病気ごとの症状と人への影響

これらの病気は、初期症状が風邪などの一般的な疾患と類似しているため、見過ごされがちです。しかし、ライム病やSFTSなどのマダニ媒介性感染症は、適時に診断され、適切な治療を受けない限り、重篤な健康被害を及ぼすことがあります。特に、マダニが活動的になる春から秋にかけてのアウトドア活動では、マダニに刺されるリスクが高まるため、予防策を講じることが重要です。

マダニ刺咬後の症状とその対処法

マダニに刺されると、一般的にはその場での明確な痛みを感じることは少なく、多くの場合、刺されたことに気づかないまま時間が経過します。しかし、マダニ媒介性感染症の発症を予防するためには、刺咬後の症状の認識と迅速な対処が重要です。

刺された直後に見られる兆候

マダニに刺された部位には、小さな赤みが見られることがあります。特にライム病の場合、刺された箇所周囲に特徴的な「エリテマ・マイグランス」と呼ばれる赤い輪っか状の発疹が出現することがあります。

この発疹は、感染の初期兆候とされており、マダニに刺されて2日〜8日間くらい後に高熱、全身に赤い発疹がみられますが、かゆみはありません。 マダニに吸血された皮膚には「刺し口」という黒い小さなカサブタが付いた赤みがみられます

初期対応としての正しい対処法

1. マダニの取り除き方:
マダニが皮膚にまだ付着している場合は、ピンセットやマダニ取り専用の器具を使用して、マダニの頭部にできるだけ近い部分を掴み、ゆっくりとまっすぐ引き抜きます。マダニ虫体の除去が困難と判断された場合は、局所麻酔をして、皮膚ごと切除する必要がありますので、皮膚科を受診してください。

マダニを潰したり、ツイスト(捻る)動作を加えないよう注意しましょう。これは、マダニの体内の病原体を皮膚に押し出してしまう可能性があるためです。
取り除いた後は、皮膚をアルコール消毒することが推奨されます。

2. 症状のモニタリング:
マダニに刺された後、数週間は体調の変化に注意し、発熱、発疹、関節痛、倦怠感などの症状が現れた場合は、直ちに医療機関を受診してください。

マダニ類に噛まれてから6日~2週間程度の潜伏期間を経て、主に原因不明の発熱、消化器症状(食欲低下、嘔気、嘔吐、腹痛、下痢等)が出現します。 時に、頭痛や筋肉痛、神経症状(意識障害、けいれん、昏睡)、リンパ節腫脹、呼吸器症状(咳など)、出血症状(紫斑、下血)を起こすことがあります。

3. 医療機関での相談:

マダニに咬まれたら、「日本紅斑熱」や「重症熱傷血小板減少症候群(SFTS)」など、致死率の高い病気にかかることがあります。 マダニに咬まれたことが原因で、死んでしまうリスクがあるので可能な限り早期に医療機関に相談し、症状の詳細を伝えましょう。

マダニに刺された場合の適切な対処法を知っておくことは、マダニ媒介性感染症のリスクを低減させる上でも非常に重要です。

マダニ感染症の予防策

マダニによる感染症を予防するためには、マダニに刺されないようにすることが最も効果的な方法です。特に、マダニが活動的になる春から秋にかけてのアウトドア活動時には、以下の予防策を講じることが推奨されます。

日常生活でできる予防方法

1. 長袖・長ズボンの着用:
肌の露出を減らし、マダニが直接皮膚に触れるのを防ぎます。ズボンの裾は靴下の中に入れると良いでしょう。

2. 虫よけ剤の使用:
ディート(DEET)やイカリジンなどを含む虫よけ剤を、裸の皮膚や衣服にスプレーすることで、マダニを寄せ付けません。

3. 明るい色の衣服を選ぶ:
明るい色の衣服はマダニを見つけやすくするため、早期に除去することができます。

アウトドア活動時の注意点

1. 草むらや低木林を避ける:
マダニは高草や低木に多く生息しています。散策やハイキングの際は、できるだけ道を歩くようにしましょう。

2. アウトドア後のチェック:
家に帰った後は、体や衣服、ペットをチェックして、マダニが付いていないか確認します。特に、耳の後ろ、膝の裏、腕の下など、隠れやすい場所に注意しましょう。

3. 衣服の洗濯と乾燥:
アウトドアから帰ったら、使用した衣服を高温で洗濯し、可能なら高温で乾燥させることで、付着しているマダニを死滅させることができます。

これらの予防策を実践することで、マダニによる感染症のリスクを大幅に低減させることができます。自然を楽しむ際には、これらの予防策を心がけ、安全に注意を払いながら活動しましょう。

専門医による治療プロセス

マダニに刺されて感染症の疑いがある場合、適切な治療を受けるためには専門医の診断が不可欠です。治療プロセスは、感染症の種類や症状の重さによって異なりますが、一般的には以下のステップで行われます。

 医療機関での診断方法

1. 病歴と症状の確認:
医師は、マダニに刺された状況、発症した症状、症状の経過などについて詳しく聞き取ります。

2. 物理的診察:
発疹や腫れなど、身体的な変化を確認します。

3. 検査:
血液検査、特にマダニ媒介性感染症を特定するための抗体検査やPCR検査などが行われます。

治療方法と回復プロセス

抗生物質による治療:
ライム病など、特定のマダニ媒介性感染症には、早期に抗生物質治療を開始することが効果的です。治療は通常、口から摂取する抗生物質によって行われ、症状の重さに応じて投与期間が決定されます。

対症療法:
発熱や痛みなどの症状を緩和するための対症療法も併用されることがあります。

フォローアップ:
治療開始後も、定期的なフォローアップが必要になる場合があります。これは、治療の効果を評価し、必要に応じて治療方針の調整を行うためです。

医療機関での適切な診断と治療は、マダニ媒介性感染症の回復にとって非常に重要です。早期発見と治療の開始は、重篤な合併症を避けるために不可欠です。

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