川崎大師にお参りすると、「南無大師遍照金剛(なむだいしへんじょうこんごう)」という言葉に出会います。
真言宗で弘法大師・空海を拝むときに唱える「ご宝号」です。川崎大師でも、大本堂でご本尊の厄除弘法大師に手を合わせる際、「南無大師遍照金剛」と唱えることが案内されています。
私も川崎大師を訪れたことから、この言葉が気になりました。
ところで「南無大師遍照金剛」について調べると、「3回唱えるの?」「何回唱えればいい?」「いつ唱えるの?」といった疑問が出てきます。
先に結論を言えば、3回唱える作法はありますが、南無大師遍照金剛は必ず3回だけ唱えなければならないわけではありません。
実際、真言宗や霊場の勤行では3遍以外の回数で唱える例もあります。
では、なぜ3回といわれるのでしょうか。意味や功徳、唱えるタイミングとあわせて見ていきましょう。
南無大師遍照金剛は何回唱える?3回でいい?
「南無大師遍照金剛は何回唱えるのか?」と聞かれたら、初めての人はまず3回(3遍)をひとつの目安にしてよいでしょう。
ただし、「絶対に3回でなければならない」と考える必要はなさそうです。
実際の勤行では3遍、7遍、21遍、108遍など、目的や勤行次第によって異なる回数が用いられています。
高野山大学が公開している奥之院参拝次第にも、大師宝号「南無大師遍照金剛」を唱えることが記されています。
また、四国八十八ヶ所霊場会では御宝号を数多く唱える念誦プロジェクトも行われており、108回をはじめ、さまざまな回数を唱えている人がいます。
南無大師遍照金剛を3回唱える例がある
仏教では同じ言葉を繰り返し唱えることがあります。
その際に「三遍」、つまり3回唱える形も珍しくありません。
そのため、「南無大師遍照金剛を3回唱える」という話自体がおかしいわけではありません。
ただし、「3回唱えれば必ず願いが叶う」という意味で3回に決められている、と考えるのは別の話です。
大切なのは回数だけではなく、弘法大師を念じ、心を込めてご宝号を唱えることなのでしょう。
3回唱えると願いが叶うの?
「南無大師遍照金剛を3回唱えると、弘法大師が願いを聞いてくれる」という話を耳にすることがあります。
こればっかりは弘法大師に聞いてみないと分かりませんね。
ただ、ご宝号そのものは弘法大師への帰依を表す大切な言葉です。
真言宗豊山派では、ご宝号を唱えることについて、お大師さまに助力を願うとともに、自分自身を励ます意味についても説いています。
ですから「3回唱えれば願いが自動的に叶う」というより、お大師さまを信じ、祈りを込めて唱えることに意味があると考えたほうが自然でしょう。
唱え続けていると、ある時「伝わった」と感じる人もいるそうです。
そこまで徹底して「南無大師遍照金剛」と唱えるのも、一つの信仰のあり方なのでしょう。
そして神秘的な体験まであれば、それはそれでありがたいことですね。
南無大師遍照金剛は3回以上唱えてもいい?
3回より多く唱えても問題ないと考えてよいでしょう。
実際、四国八十八ヶ所霊場第二十三番札所・平等寺の朝夕勤行次第には、大師宝号を21遍、さらに別の箇所では100遍または1000遍唱える次第があります。
つまり、「3回でなければいけない」「4回唱えたから間違い」というものではありません。
お寺で決められた勤行や案内がある場合はそれに従い、個人で唱える場合は3回をひとつの目安として、もっと唱えたいのであれば心を込めて唱える。
私はそれくらいに考えるのがよいと思います。
南無大師遍照金剛はいつ唱える?
「いつ唱えればいいの?」という疑問もあります。
お寺へ参拝したときだけ唱えるものと思ってしまいますが、必ずしもそうではありません。
川崎大師も、ご名号やご真言について「お寺に参拝するときのみならず」、日々感謝の気持ちをもって唱えることを勧めています。
お寺に参拝したとき
真言宗のお寺で弘法大師をお参りするときは、合掌して「南無大師遍照金剛」と唱えることができます。
川崎大師の場合、大本堂のご本尊は厄除弘法大師です。
そのため大本堂で手を合わせるときには、「南無大師遍照金剛」と唱えます。これは川崎大師自身も案内している参拝方法です。
四国八十八ヶ所をお参りするとき
弘法大師ゆかりの四国八十八ヶ所でも「南無大師遍照金剛」は大切なご宝号です。
お遍路には「同行二人」という言葉があります。
一人で歩いているように見えても、常に弘法大師とともに歩いているという信仰です。
そう考えると「南無大師遍照金剛」は、単なる決まり文句ではなく、お大師さまを身近に感じながら巡礼するための言葉でもあるのでしょう。
自宅で唱えてもいい?
自宅で唱えてもよいでしょう。
川崎大師も、お寺への参拝時だけでなく日々ご名号・ご真言を唱えることを勧めています。
四国八十八ヶ所霊場会の御宝号念誦プロジェクトを見ても、自宅の仏壇前や朝のお勤めなどで唱えている人がいます。
朝起きたとき、仏壇に手を合わせるとき、心を落ち着かせたいときなど、自分なりの時間を作ってもよいのではないでしょうか。
南無大師遍照金剛の唱え方
難しい言葉に見えますが、読み方を覚えれば唱えること自体は難しくありません。
南無大師遍照金剛の読み方
読み方は、「なむ だいし へんじょう こんごう」です。
川崎大師でも、この読み方が紹介されています。
「南無大師」でひとまとまりにしてしまいそうになりますが、「南無」「大師」「遍照金剛」とそれぞれ意味があります。
唱えるときの基本
弘法大師をお参りするときに合掌し、「南無大師遍照金剛」と唱えます。
声の大きさを競うものではありません。
お寺で周囲に参拝者がいる場合は、その場の雰囲気や案内に従えばよいでしょう。
大切なのは、ただ回数をこなすことではなく、弘法大師への帰依や感謝の気持ちをもって唱えることだと思います。
川崎大師では南無大師遍照金剛を何回唱える?
私が「南無大師遍照金剛」という言葉に出会ったのも川崎大師でした。
川崎大師の大本堂では、ご本尊の厄除弘法大師に手を合わせる際、「南無大師遍照金剛」と唱えます。
「何回唱えれば願いを聞いてもらえるのだろう」と考えたくなりますが、回数そのものにこだわり過ぎなくてもよいでしょう。
初めてなら3回をひとつの目安にしつつ、現地で回数や唱え方について案内がある場合は、それに従うのが一番確実です。
そして、川崎大師で「南無大師遍照金剛」を唱えるのであれば、ぜひ一度、言葉の意味まで知ってから唱えてみてください。
同じ八文字でも感じ方が変わるかもしれません。
四国八十八ヶ所では南無大師遍照金剛を何回唱える?
四国遍路でも「南無大師遍照金剛」は唱えられます。
ただし、ここでも「いつでも絶対3回」と単純に決めつけないほうがよいでしょう。
寺院や勤行次第によって唱える回数が異なる例があるからです。
四国八十八ヶ所霊場会では現在も「御宝号88億回念誦プロジェクト」を行っており、参加者は108回、88回、数百回、数千回など、さまざまな回数の御宝号を唱えています。
四国遍路で正式な勤行を行うのであれば、そのとき使用する勤行次第に従うのが分かりやすいでしょう。
南無大師遍照金剛の意味
「南無大師遍照金剛」は短い八文字ですが、一つずつ分けると意味が理解しやすくなります。
一般的には、「遍照金剛である弘法大師に帰依します」という意味に捉えられます。
「南無」の意味
「南無」は帰依する、敬うといった意味です。
簡単にいえば、仏さまなどを信じて心のより所とすることです。
川崎大師も、ご名号やご真言には仏さまに帰依し、「心のより所とする」という意味が含まれると説明しています。
「大師」の意味
ここでいう「大師」は弘法大師・空海です。
「弘法大師」は空海が生前から名乗っていた名前ではありません。
空海の入定後、醍醐天皇から贈られた大師号です。
「遍照金剛」の意味
「遍照金剛」は、空海が唐で師の恵果和尚から密教を授かった際に与えられた灌頂名とされています。
「金剛」はダイヤモンドにもたとえられる、壊れない堅固さを表します。
真言宗寺院の金剛三昧院も、遍照金剛について、空海が恵果和尚から授かった号と説明しています。
大日如来との関係も深く、密教の世界を理解しようとすると非常に奥深い言葉です。
しかし初めての人なら、まずは「弘法大師に帰依します」という意味で覚えておけば分かりやすいでしょう。
南無大師遍照金剛はいつから唱えられている?
弘法大師というのは諡号です。
空海が入定したのは835年で、「弘法大師」の大師号が醍醐天皇から贈られたのは921年です。
そのため「南無大師遍照金剛」という言葉を見ると、921年以降に成立したのではないかと考えたくなります。
ただし、大師号が贈られた年と、現在の形のご宝号がいつ成立し、広く唱えられるようになったのかは同じ問題ではありません。
そのため「921年から南無大師遍照金剛が唱えられるようになった」と単純に断定するのは避けたほうがよさそうです。
現在では「南無大師遍照金剛」は弘法大師信仰を象徴する大切なご宝号として広く唱えられています。
南無大師遍照金剛の功徳とは?
では「南無大師遍照金剛」を唱えると、どんな功徳があるのでしょうか。
以前の私は、大日如来との関係から「オールマイティーな功徳」と考えていました。
しかし、功徳を「これを唱えれば必ず○○が叶う」という現世利益だけで考えると、ご宝号本来の意味から少し離れてしまうかもしれません。
真言宗豊山派では、「南無大師遍照金剛」と唱えることで、お大師さまが身近におられるように感じられることや、お大師さまに助力を願い、自らの心を鼓舞することについて説いています。
川崎大師も、ご名号やご真言を唱えることそのものを仏道の大切な修行としています。
願い事が叶うかどうかだけではなく、弘法大師を心のより所として、自分自身の心を整える。
それも「南無大師遍照金剛」を唱える大切な意味なのでしょう。
川崎大師の護摩祈願はいつがいい?
一度でも護摩祈願を体験していれば抵抗はないでしょうが、知らないと少し敷居が高く感じるかもしれません。
法力を信じる信じないもありますが、一度体験してから判断するのがフェアだと思います。
燃え盛る護摩の炎、一心に唱えるお坊さんの読経、終わった後の爽快感。
願いが叶っているかどうかは私には分かりません。
しかし、実際にその場へ行ってみなければ分からないものがあるのも確かです。
私自身は、川崎大師を訪れたことで「南無大師遍照金剛」というご宝号について調べるきっかけをもらいました。
護摩祈願を受けるのであれば、時間や法要の内容はその時期によって変わる可能性がありますので、参拝前に川崎大師の最新案内を確認するのが確実です。
まとめ|南無大師遍照金剛は3回をひとつの目安に心を込めて唱える
「南無大師遍照金剛」は、弘法大師を拝むときに唱える大切なご宝号です。
読み方は「なむ だいし へんじょう こんごう」。
「何回唱えるの?」と迷った場合、3回(3遍)をひとつの目安にできます。
ただし、3回だけが絶対的な回数ではありません。
実際の勤行では21遍、108遍、さらに多く唱える例もあります。大切なのは、「3回唱えれば必ず願いが叶う」という数字だけにこだわるのではなく、弘法大師への帰依や感謝を込めて唱えることなのでしょう。
川崎大師では、大本堂の厄除弘法大師に手を合わせる際に「南無大師遍照金剛」と唱えます。また、お寺だけでなく日々唱えることも勧められています。
「縁なき衆生は度し難し」ともいいます。
気になっているなら、一度ご縁を作ってみてはいかがでしょうか。
私がブログを書く契機を作ってくれたのも川崎大師です。
それはまた別の機会に紹介したいと思います。あまり褒められたことではありませんが……。


