温度が高く、多種多様な泉質のあることが特徴で、熱と化学成分の素は、鶴見火山群の地下深部に存在する塩化物泉型の熱水です。水そのものは雨水を起源とし、別府全域の地下に分布する温泉水は、平均して約50年で入れ替わっています。
この熱水は、別府扇状地南縁の朝見川断層および北縁の鉄輪断層を流路として流れ出しており、別府八湯はこれら2本の流路に沿って位置しています。
温泉熱水は流動の途中で沸騰して蒸気が発生するため、高地部には蒸気が分布しています。蒸気を失った熱水は、地下水で希釈されながら低地部へ向かい、塩化物泉になります。
他方、蒸気に含まれる硫化水素から硫酸塩泉が、二酸化炭素から炭酸水素塩泉が生じます。これら三種の温泉水と地下水が様々な割合で混合し、多種多様な泉質が形成されています。
別府の温泉分布地図
別府八湯とは
1.別府温泉(アルカリ性単純泉)
2.鉄輪温泉(アルカリ性単純泉)
一編上人とは
一遍は鎌倉時代の1239年に伊予国久米郡に生まれました。1274年に遊行を開始、熊野に参籠し霊験を得て、念仏さえ唱えれば誰でも往生できると説き(時宗開宗)全国を巡ります。
その途中、別府で地獄の湯煙に苦しむ人々のために祈願し、霊験の湯を発見します。
そこに蒸し湯を築いたと伝わっています。一遍は、道後温泉奥谷の松山の豪族・河野通広の家に生まれています。道後温泉は8世紀から温泉場として利用されという、天皇も行幸している有名温泉地でした。だから温泉の利用法、効能には精通していたのでしょう。地獄と認識されていた高温の温泉をサウナとして利用を思いつたのが一遍上人ということです。「鉄輪むし湯」のルーツであり、別府温泉における湯治場・鉄輪の起源など、別府の温泉利用のルーツとなっています。
鉄輪温泉街のもう一つの見どころは、「湯の川」と呼ばれる場所で、源泉数と湧出量で日本一を誇る源泉が、轟々と音を立てて流れ落ちています。
“ジモ泉”とは「地元の温泉」のことで、立ち寄り湯のほとんどは、地元の組合によって管理運営が行われています。
鉄輪温泉の楽しみ方としては、町歩きを堪能してから立ち寄り湯を利用するのもよいでしょう。
ジモ泉では、“風呂を楽しむ”という事に加え、“地元の人と触れあう”という感覚で、先に入っている人がいたら、話しかけると、ガイドブックなどではわからないような鉄輪情報が手に入れられるかもしれません。
3.亀川温泉(アルカリ性単純泉)
4.浜脇温泉(アルカリ性単純泉)
5.観音寺温泉(アルカリ性単純泉)
全国的にもめずらしいコバルトブルーの湯で、朝見川上流の山の斜面の古い街道沿いにある温泉街です。
地熱が豊富なため湯煙が広く立ち上り情緒豊かである。大型温泉リゾートや小規模な高級旅館から、湯治向きの宿までバラエティに富む宿が点在し、棚湯の眺望が見事な湯やコバルトブルーに温泉の色が変化する湯など多彩な温泉がそろう。
約3000の源泉数を誇る別府八湯の中でも、最もクリアな泉質といわれており飲用にも適した体に優しい泉質である。
6.明礬温泉(硫黄泉)
7.柴石温泉(硫黄泉)
療養効果の高い温泉地として国民保養温泉地、国民保健温泉地として指定されており近くには明礬温泉へとつながる森林遊歩道があります。
8.堀田温泉(硫黄泉)
別府八湯でおすすめの温泉施設
1.堀田(ほりた)温泉の「夢幻の里 春夏秋冬」
2.浜脇(はまわき)温泉の「浜脇温泉」
3.柴石(しばせき)温泉の「柴石温泉」
もともとここ一帯は「藤内(とうない)」という地名でしたが、江戸時代に柴の化石が見つかったことから「柴石」という名前になったそうです。
4.亀川(かめかわ)温泉の「浜田温泉」
別府八湯温泉道とは
別府温泉の歴史
別府市内の、多くの観光スポット
1. 別府地獄めぐり
別府地獄めぐりへのアクセス
今回ご紹介する観光コースでは、別府地獄めぐりで代表的な七大地獄を巡ります。
地獄は2つのエリアに分かれて分布しているため、アクセスするなら路線バスや観光バス、レンタカーの利用がおすすめです。
観光バスを利用すれば、7つの地獄への入場券+ガイド込み(約3時間)で、3,650円で別府地獄めぐりが楽しめるので、初めて訪れる方も安心です。
なお、利用は当日申込でも可能ですが、事前にネット申込を済ましておくと、当日はスムーズに利用できますよ。
一般の路線バスを利用する場合は、別府駅西口の亀の井バスの乗り場(2番・5番・24番・41番)から、「鉄輪(かんなわ)行き」へ乗車します。今回ご紹介するコースで地獄めぐりを楽しむ場合は、「海地獄前」で下車して下さい。所要時間は約20分、料金は大人330円です。
また、路線バスを利用して地獄めぐりをしたい方、亀の井バスが発行する「1日ミニフリー乗車券」(大人900円、学生700円、子ども450円)を購入すると、別府市内で路線バスが1日乗り放題になります。
自家用車やレンタカーを利用する場合は、東九州自動車道 別府ICから約5分で、地獄めぐりのスタート地点「海地獄」へ到着します。
なお、別府地獄めぐりを楽しむなら、フリーパスの購入がお勧めです。
通常、各地獄への入場は一律400円が必要ですが、フリーパスでは2,000円で7つの地獄へ入場が可能です。こちらは各地獄の入口で購入できます。
別府地獄めぐりへのおすすめの観光コース
別府地獄めぐりの観光コースを紹介します。
海地獄
初めにご紹介するのは、路線バスのバス停からすぐの場所にある「海地獄」です。
この海地獄は約1,200年前、別府から近い鶴見岳の噴火とともに現れた熱泉の一つとされています。
海のように見えるコバルトブルーの水面が特徴的で、海地獄という名前もそこから名付けられました。水深約200m、温度は約98度と高温で、水が青く見える理由は、温泉成分に硫酸鉄が多く含まれているためです。2009年(平成21年)には「別府の地獄」として文部科学省指定の名勝に認定され、別府地獄めぐりを代表する地獄として観光客を出迎えています。
また、入場者が無料で利用できる足湯、タオルの自販機、カフェテリアなども併設されているので、ちょっとした休憩も可能です。
【公共交通】別府駅から亀の井バス「鉄輪行き」乗車約20分、「海地獄前」より徒歩約1分
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
鬼石坊主地獄
海地獄の南には、泥がボコボコと音を立てて湧き出る地獄「鬼石坊主地獄」があります。
こちらは733年(天平5年)の文献に登場している歴史ある地獄で、当時は周囲一帯の田園からも泥が湧き出る、まさに地獄のような場所だったと伝えられています。
一時は時世により閉鎖していましたが、2002年(平成14年)に営業を再開すると、たちまち多くの観光客が訪れる人気スポットに。延々と湧き出る熱泥と、温泉の蒸気が立ち込める、不思議な様子を間近で観察できます。
また、鬼石坊主地獄でも足湯やカフェスペースが利用可能です。源泉で蒸すプリン・温泉卵・肉まんなど、温泉地ならではのグルメが味わえます。
鬼石坊主地獄の施設奥には、温泉施設「鬼石の湯」もあり、日帰り入浴することも可能です。足湯だけじゃなく、温泉も楽しめるのがいいですね。
【公共交通】別府駅から亀の井バス「鉄輪行き」乗車約20分、「海地獄前」より徒歩約1分
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
かまど地獄
鬼石坊主地獄を出て北東へ向かうと、地獄一丁目から六丁目までの6つの源泉を一ヶ所で楽しめる「かまど地獄」へ到着します。かまど地獄という名前は、別府の氏神である八幡竈門神社の大祭に奉納する御供飯を、この源泉の蒸気で炊いていたことが由来だそうです。
地下から熱泥の湧き出る「地獄一丁目」、年に数回色が変わる不思議な「地獄三丁目」など様々な地獄がありますが、かまど地獄のおすすめポイントは「極楽二丁目」と「極楽四丁目」!なんと、かまど地獄では地獄だけでなく、極楽のような源泉も楽しめるんです。
二丁目では健康に効果のある温泉水を飲むことができ、四丁目では喉や肌など、美容に効く温泉成分を含んだ蒸気を浴びることができます。
【公共交通】別府駅から亀の井バス「鉄輪行き」乗車約20分、「海地獄前」より徒歩約8分
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
鬼山地獄
「鬼山地獄」は、日本で初めて温泉熱を利用してワニ飼育を開始しました、「ワニ地獄」と呼ばれている地獄です。別府の地獄めぐりが活性化した1922年頃、観光客により楽しんでもらえるようにワニの飼育を始めたとされています。
鬼山地獄の横にある広大なワニ池には、クロコダイル・アリゲーターが約80頭います。
鬼山地獄そのものも、1時間で8トン、1日で200トンもの湯量を誇る、規模の大きい沸騰温泉なのです。
敷地内では他にも、鬼山地獄で飼育していた世界最大級のワニの剥製や、貴重なガビアルの骨格標本など、ワニに関する展示もしています。また、毎週土曜日と日曜日には、飼育員がワニにエサやりを行う様子を間近で観察可能です。
【公共交通】別府駅から亀の井バス「鉄輪行き」乗車約20分、「海地獄前」より徒歩約7分
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
白池地獄
鬼山地獄からさらにに東へ進むと、熱帯魚館が併設された温泉地「白池地獄」へと到着します。白池の名の通り青白い色が特徴的で、温泉の周囲にある日本庭園との幻想的な景色を楽しめます。園内にある熱帯魚館は温泉の熱を利用しており、世界最大級の淡水魚であるピラルクやピラニアなど、約20種類の熱帯魚を鑑賞可能です。
また、園内には大分県に関係する画家の南画や書などを展示する「二豊南画堂」も併設されています。地獄めぐりを楽しみながら、侘び寂びを感じる日本文化に触れてみてはいかがでしょう。
【公共交通】別府駅から亀の井バス「鉄輪行き」乗車約20分、「海地獄前」より徒歩約7分
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
血の池地獄
白池地獄から県道218号線を北上すると、別府地獄めぐりで海地獄と対を成す人気スポット「血の池地獄」へと到着します。
1,300年以上の歴史がある血の池地獄は日本最古の天然地獄で、鉄やマグネシウムを含んだ真っ赤な泥が湧き出ることが特徴です。泥は火傷・あかぎれ・ニキビなどに効果のある「血ノ池軟膏」として販売されており、地獄めぐりのお土産ランキングでは例年上位にランクインするほど大人気です
また、園内には「血の池バーガー」「血の池カレー」などの食事を楽しめるレストラン「極楽亭」も営業しています。大分・九州の食材を中心に使用されているので、別府の美味しいグルメを堪能したい方におすすめです。
【公共交通】別府駅から亀の井バス外廻り循環線(26番)「鉄輪行き」乗車約30分、「血の池地獄前」下車
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
龍巻地獄
血の池地獄のすぐ近くにあり、別府七大地獄のラストとなる「龍巻(たつまき)地獄」です。ここでは、海地獄・白池地獄・血の池地獄と共に国指定名勝に認定されている、大迫力の間欠泉を見ることができます。
間欠泉とは、一定の周期で熱湯や水蒸気を噴き出す温泉のことです。龍巻地獄は30分に一度、約105度という高温で噴き出し、間欠泉の勢いは約30mを超えるほどの噴出量があります。
龍巻地獄からは路線バスにて「亀川駅」まで向かえば、地獄めぐりの観光コースは終了!
亀川周辺には漁港直営の鮮魚店や飲食店、全国でも珍しい砂湯もあるので、地獄めぐりのあとに別府の美食やひと味違った温泉を楽しむこともできますよ。
【公共交通】別府駅から亀の井バス外廻り循環線(26番)「鉄輪行き」乗車約30分、「血の池地獄前」下車
【べっぷ地獄めぐりフリーパス】大人(高校生以上)2,000円、小人(小中学生)1,000円
別府で有名な土産物は
別府には数多有名な土産物がありますが、今回は取り敢えず目に付いたものを紹介します。
岡本屋 「地獄蒸しプリン」
宝物産 「謎のとり天せんべい」
南光物産 「ゆず一番」
冨士屋ギャラリー一也百(はなやもも) 「温泉コンフィチュール」
ヘルカンパニー 「激辛地獄の一滴」
まとめ
別府は名実ともに日本一の温泉郷です。それだけに信仰と深く結びついている一面がありとても興味深いですよ。
別府温泉の源である鶴見岳には、古代より山麓に温泉があることは広く知られていましたが、活発な噴火活動で荒地や沼地になったままで、整備されていませんでした。
『豊後国風土記』や『万葉集』には、現在の柴石温泉の血の池地獄にあたる「赤湯の泉」や、鉄輪温泉の地獄地帯にあたる「玖倍理(くべり)湯の井」等についての記載があります。
『伊予国風土記』逸文には、大国主命が鶴見山麓から湧く「速見の湯」を海底に管を通して道後温泉へと導き、少彦名命の病を癒したという神話が記載されています。そして、道後温泉出身の一編上人が別府温泉の開拓をしています。
771年に創祀されたとされる火男火売神社は、神体山である鶴見岳の2つの山頂を火之加具土命、火焼速女命(ひやきはやめのみこと)の男女二柱の神として祀っており、別府八湯の守り神として信仰を集めています。
最近聞いた面白い話としては竜巻地獄と血の池地獄の間には深い関係があるらしいのです。感の良い人なら気づいているかも知れませんが、竜巻地獄が男性を表し、血の池地獄が女性を表しているそうです。そして二つの地獄は仲良くすぐ近くにあります。
そうです夫婦和合のパワースポットなのかも知れません。真偽のほどは神のみぞぞ知るで、別府温泉に行って確認することをお勧めします。